『マッドマックス』

ジョージ・ミラーはオーストラリアを代表する映画作家の一人です。彼の長編デビュー作「マッドマックス」（1979年）は、オーストラリア映画界の先駆けとなる作品であり、後世の創作物にも大きな影響を与えています。この作品は映画史において欠かせない存在であり、重要な意義を持っています。

学生時代に短編映画を制作し、コンクールで最優秀賞を受賞したことがきっかけで映像業界に入ったジョージ・ミラー監督は、その後いくつかの短編を制作し、「マッドマックス」を最初の商業長編作品として手掛けました。

「マッドマックス」の脚本は、1970年代のオーストラリア社会が直面していた暴走族問題とそれに伴う非行や犯罪を物語の核心に据えています。また、荒廃した近未来のオーストラリアを舞台にし、「世紀末」という普遍的な創作ジャンルを確立させたことは高く評価されています。

映画では、社会倫理が崩壊し治安が悪化する近未来のオーストラリアが描かれています。暴走族問題を取り入れ、「暴走族による凶悪事件が蔓延する最悪の近未来」として表現されています。これは非現実的に思えるかもしれませんが、実際には社会問題を反映した啓蒙的な作品です。

映画の中で描かれる未来世界では、暴走族専門の特殊警察「メインフォース・パトロール（M.F.P.）」が組織されており、メル・ギブソン演じる敏腕警官マックス・ロカタンスキーが主人公です。彼は特殊警察用の改造パトカー「V8インターセプター／パスゥート・スペシャル」で逃走中の凶悪犯ナイトライダー（ヴィンス・ギル）を追跡します。カーチェイスの末、ナイトライダーは運転ミスにより事故死します。ナイトライダーを率いるトーカッター（ヒュー・キース・バーン）はその死を知り、M.F.P.への報復攻撃を計画します。これにより、マックスの親友や家族に危険が迫ることになります。