『シャザム!』DC映画のコミカルな変革

 フォーセットという出版社は1940年に「キャプテン・マーベル」を創り出した。人気を博したけれど、「スーパーマン」の盗作だとして訴えられ、結局のところ1953年に廃刊。今、DCコミックスから「シャザム」というタイトルで発表されているのが、この「キャプテン・マーベル」。マーベルで出している「キャプテン・マーベル」は別のキャラクターなのである。いやはや、なんとも複雑。このキャラクター、映画化されたこともあって知名度がぐんと増している。

 映画『シャザム!』(2019)は、かつてのフォーセットが送り出した「キャプテン・マーベル」の実写版。つまりDCコミックスの「シャザム」の実写版である。この映画、これまでのダークなDC映画と一線を画し、ユーモアたっぷりの映画に仕上がっている。

 以前はどうだったか。例えば、『マン・オブ・スティール』(2013)。この映画は「スーパーマン」のリブートであるとともに、「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」の出発点となった作品だ。この映画では、監督ザック・スナイダーが「ダークナイト」三部作のように、フィルム・ノワール風の犯罪アクションとダークなビジュアルを描出した。

 クリストファー・ノーランの「ダークナイト」三部作以降、ワーナー主導のDC映画はダークなスタイルに傾倒してきた。DCコミックスが「ディテクティブ・コミックス」として誕生し、ハードボイルドな探偵ものからスタートしたことを考えると、映画がダーク路線に進んでいくのも納得できる。

 しかし、である。シリーズは『ジャスティス・リーグ』(2017)以降、大きく変わってきた。各作品に独自の“カラー”が設定され、『アクアマン』(2018)では迫力ある海洋アクションが主役となった。『シャザム!』ではもう一歩先に進み、よりコミカルなタッチに振りきっている。そこにシリアスなテーマは存在しない。『シャザム!』はコメディに大きく舵をきって、明るく楽しい映画になった。DC映画におけるダークなイメージは、もはや薄れつつあるのが現況だ。

家族をテーマにストーリーが掘り下げられた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました