キャッチコピーをある意味「最悪」に裏切った『ヴェノム』

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ヴェノム単独の映像化はもちろんですが、「世界一セクシーな男性」に選ばれたこともあるトム・ハーディがついにマーベルに参戦してきたことでも話題を呼んだ『ヴェノム』(2018)。
本当にキャッチコピーのとおり、“最悪”な悪役キャラクターなのでしょうか。
『ヴェノム』あらすじ
正義感が強く、自分の報道番組を持つほどの敏腕記者であるエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、恋人であり“ライフ財団”の弁護士でもあるアン(ミシェル・ウィリアムズ)のパソコンデータを盗み見し、財団が裏で人体実験を行っていると知ります。
財団のリーダーであるドレイク(リズ・アーメッド)に取材した際、人体実験について追及したことが原因で会社をクビになり、激怒したアンからも別れを告げられてしまうことに。
半年後、ライフ財団の研究員のひとりであるドーラ博士(ジェニー・スレイト)からの接触によって、ふたたびライフ財団を暴くために研究施設に潜入、そこで地球外生命体である“シンビオート”に寄生されてしまい……。
キャラクターはもちろん、“中の人”もかっこいい!
『ダークナイト ライジング』(2012)や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)、『ダンケルク』(2017)など、数多くの映画に出演しているにも関わらず、あまり知られていない(気がする)トム・ハーディ/通称トムハですが、本作をきっかけに多くの方々に彼の存在が知れ渡ったのではないでしょうか?
なんと言ってもアクションがカッコいいです。バイクチェイスをはじめ、ラストの戦闘シーンなど見どころ満載です。
また、なにかと顔面を隠されがちな(詳しくは、さきほど挙げさせていただいた作品をご覧あれ!)トム・ハーディですが、本作は久々の素面です(笑)。恐怖で顔が引きつったり幸せそうな笑顔だったりがこれでもかと観れるため、トムハ好きならぜひ観ておくべき1本と言えるのではないでしょうか。
彼の息子さんのお気に入りのキャラクターがヴェノムだったこともあり、息子さんの年齢でも観れる映画に出演したかったとコメントしているトムハ。
ホラーが苦手なわたしでも楽しく観れましたので、怖いかも……と観る決心がついていない方にもぜひオススメしたい作品です。
本当に“最悪”なのは……
「もっとも残虐な、悪が誕生する」や「最悪」といったキャッチコピーが目立っている本作。
しかし、よくよく観てみるとそこまでヴェノム(シンビオート)自身は最悪というより、むしろ後半など素敵なバディ映画では……と思えてなりませんが、みなさまいかがでしょうか?
むかしから幽霊よりも生きている人間が1番怖いとよく言いますが、ドレイクが行っていた非道で違法な人体実験の方がむしろ最悪では……と思いつつ、エディ自身にも変化があったのではとわたしは考えています。
シンビオートに寄生される前までは社会的弱者たちを守り、記者ではあるものの社会の中の1人という立場であったのに対し、寄生後は自分の良しあしでヴェノムが人を“喰らう/喰らわない”を決めていることから、「自分は特別な1人である」という考えになってしまったように感じます。
もしかすると、エディの倫理観が大きく変わってしまったことが1番の“最悪”なのかもしれません……。