イルミネーションによる豪華な日本仕様を堪能せよ!吹き替え版推奨の『グリンチ』

『グリンチ』 © 2018 UNIVERSAL STUDIOS
ドクター・スースの絵本「いじわるグリンチのクリスマス」(日本パブリッシング刊)によって生み出され、アメリカではクリスマスの定番キャラクターとなっているひねくれものキャラクターを『怪盗グルーの月泥棒 3D』(2010)『ミニオンズ』(2015)などで知られるイルミネーション・エンターテインメントが長編アニメーション化。
2000年には、ジム・キャリーが特殊メイクでグリンチに扮した実写版も公開されています。
『グリンチ』あらすじ
絵本ベースのファンタジーですので、ストーリーは至ってシンプルです。グリンチのつらい過去の部分も描かれますが、その部分は軽く触れる程度です。
クリスマスムードにあふれる街のはずれの洞窟に住む、ひねくれ者のグリンチは、クリスマスが特に大嫌い。ある時、いよいよ気持ちが高ぶったグリンチは、街中からクリスマスを盗もうと考え……。
吹替版重視の日本公開態勢
日本ではほぼ吹替版で公開される『グリンチ』ですが、断然吹替版をお薦めします。ちなみに、オリジナルではベネディクト・カンバーバッチがグリンチの声を当てているので、彼のファンの方は数少ない字幕版を狙ってください。
ただ、やはり今回はご覧になるなら吹替版をお薦めいたします。イルミネーション作品の日本での興行成績の好調さもあるのですが、今回の吹替版は日本に向けた特別演出がふんだんに盛り込まれています。
ひねくれもののグリンチの住どころの洞窟の看板や、街の看板、撒かれるチラシなどの表記が日本語になっていることが分かります。またエンドロールも“YO OIZUMI”の表記から始まる特別仕様なのです。
声優としての大泉洋
大泉洋がブレイクした北海道ローカルのバラエティ番組「水曜どうでしょう」。この番組のファンがスタジオジブリにいたことから起用されたのが、宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』(2001)の番台蛙役。
本作で大泉洋のキャラクターと声を気に入った宮﨑監督とジブリスタッフはその後も『茄子 アンダルシアの夏』(2003)『ハウルの動く城』(2004)『思い出のマーニー』(2014)と立て続けに登板しています。
意外にも洋画の吹替は今回の『グリンチ』が初めてですが、ちょっとひねくれてはいるものの、根はやさしく、ちょっと不器用なキャラクターは大泉洋という人間のパブリックイメージとも重なり、高い親和性を感じさせます。
また、彼だけではなくモブキャラや歌唱パートも日本人キャストで吹替なおしていて、細部まで日本仕様になっています。
スプラスティックコメディの後継者
スプラスティックコメディ。サイレント映画のころ、チャップリンやバスター・キートンのころから連綿と続く、喜劇映画の古典点滴スタイルですが、実は言葉が分からなくても画を見ていれば、観客を素直に楽しませるという高等技術の結晶でもあります。
『グリンチ』と同時上映される短編『ミニオンのミニミニ脱走』(2018)などをみるとより明確に感じることができるますが、イルミネーションのアニメはスプラスティックコメディの正統な後継者となっています。
画で見て、声で見てと90分の上映時間をたっぷりと堪能できる『グリンチ』。変化球でありながら、直球のクリスマスムービーとなっています。
[amazonjs asin=”B008BEF656″ locale=”JP” tmpl=”Small” title=”グリンチ Blu-ray”]