【年末年始企画】<フィルミル>のライター陣が選ぶ、2018年最高の映画はコレだ!

今年、2018年も数多くのヒット作が世に放たれた。ここでは、2018年に公開された映画作品の中で、フィルミルのライター陣が選ぶ最高の1本をお送りする! 日本でも特大ヒットとなった音楽映画から、人気アニメの劇場最新作まで、各ライター厳選の幅広い6作品をお届けしよう。
mowestrasse:『ボヘミアン・ラプソディ』
多くの方がこの作品を最高の1本として挙げるような気はしますが、わたしもこちらを挙げさせてもらいます。内容としてはQueenというよりかフレディ・マーキュリーをメインとした彼の人生を描いていますが、ここでおもしろいのは完全なる「伝記」映画ではないということだと思います。実際とは違う事実の起こり方などをしていると指摘をしているものをSNSなどでも見ることがあるように、あくまでも「エンターテインメント」であるという部分がわたしは好きでした。彼が作中にも言っているセリフのように「パフォーマー」である彼にぴったりの「観せ方」ではないでしょうか?
特に洋楽にハマらず生きてきたこともありろくにQueenというバンドを知らずに生きてきましたが、そんな方々にもわかりやすく、彼らが生きていたあのロックンロールの時代を強く受け止めることができる作品でもあり、観た後はQueenというバンドを知ろうとしていろいろな曲や映像を観るよいきっかけにもなりました!
madwhite:『アンダー・ザ・シルバーレイク』
『イット・フォローズ』(2014)のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が自分の好きなサブカルや陰謀論を詰めるだけ詰め込んでグツグツ煮込んだ闇鍋のような新感覚ノワール。難解というよりも、監督の意図として明確な答えが出せないように無限に解釈が開かれた作りとなっている。
とは言っても完全に意味不明なのではなく1つ1つのパズルのピースを当てはめていくとハマって一部のメッセージのようなものも見えてくるのだが、決してパズルは完成しない。それゆえにのめり込んでしまうとこの作品についてあれこれ考えて沼にはまってしまうのだが、その出口のない迷路をうろつくような感覚がたまらない一本。美しい撮影、主演のガーフィールドの演技、往年のクラシックハリウッド映画風の音楽もたまらない。
suzune025:『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』
私が今年観た最高の1本は、「ポケットモンスター」の「みんなの物語」です。この作品はポケモン映画史上初めて主人公であるサトシ以外の登場人物たちのストーリーが色濃く描かれている作品になっています。この作品の大きなテーマとして私が感じたのは、1人では成し遂げられないことでも皆の力を合わせれば必ず上手くいく、ということです。
平成という時代を締めくくる30年は、国内だけでも多くの天災に見舞われました。特にこの映画が公開されたタイミングは西日本豪雨の直後だったこともあってか、この映画を観た人々にとってはとても大きな力を得たのではないでしょうか。全く関わり合いのなかった赤の他人同士が手を取り合い、助け合って1つの大きな困難に勇気を出して立ち向かっていく姿は、人々の心を温め勇気を与えた作品だと思っています。
Napoleon:『プーと大人になった僕』
かつて、100エーカーの森でクマのプーやティガーたちと過ごしていたクリストファー・ロビン。月日が流れてやがて大人になったクリストファーは結婚して娘が生まれるが、仕事中心の毎日を送っていた。会社からの難しい仕事に忙しく取り組んでいくが、それは家族と過ごす時間を失うことを意味し、ロビンはそのことに悩んでいた。
純粋な心をいつまでも失わないクマのプーがとてもかわいらしい。プーと再会をしたロビンが少しずつ自分にとって本当に大切なものは何であるかを考え、それに気付いていく姿も感動的だ。日々何かに追われて忙しい時だからこそ、ふと立ち止まって何もしない時間を過ごす。そのことで何かに気付けることがある。そんなことを教えてくれる映画だ。
OsoneRampo:『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
今年の公開作品で、今日的な意味で非常に価値がある映画として、また個人的にも非常に印象に残った映画は『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』です。トランプ政権とメディアの関係を目の前にしたスティーブン・スピルバーグ監督が手元に届いた脚本を見るや映画化を即決。さらにメリル・ストリープとトム・ハンクスという豪華競演が実現し、映画としての価値がさらに一段上の作品となりました。
ワシントン・ポストはこの報道で全米を代表する新聞となり、直後に『大統領の陰謀』(1976)に描かれるウォーターゲート事件の報道に繋がりました。今というというタイミングの映画として『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が今年の映画として記憶されるべき映画だと思います。
Hayato Otsuki:『ウインド・リバー』
今日におけるアメリカ合衆国には、およそ300万人のネイティヴ・アメリカン(アメリカ先住民)が現存しているらしい。そのほとんどは居留地(または保留地と呼ばれる)での暮らしを強いられており、彼らの生活水準は極めて低い。居留地は、全米各地に100以上点在する。先住民たちの多くは半ば強制的にここに住まわされているそうだ。白人と同じように大都会で暮らす者もいるようだが、未だに世間からの風当たりは強いという。
本作は、荒涼たる雪原の広がるウインド・リバー居留地で起きた、ある少女の死を描いている。監督・脚本は、『ボーダーライン』(2015)で頭角を表したテイラー・シェリダンだ。居留地で暮らす者の多くは貧困にあえいでおり、アルコールやドラッグに依存する者も少なくない。ゆえに自殺率も高いという。先住民たちの辛く厳しい現実と、少女の死をめぐるドラマ。誰が少女を殺したのか、なぜ少女は死ななくてはならなかったのか。アメリカの負の一面を真摯に描いた傑作の中の傑作だ。これは決してフィクションではない。今まさに起きている事実だ。
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