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「氷の男」と「悪童」の息詰まる名勝負を描く実録スポーツ映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』

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© AB Svensk Filmindustri 2017

ビヨン・ボルグ。かつてハリウッドスターのような圧倒的な人気を誇ったスウェーデン人のテニスプレーヤーだ。彫刻のように美しい顔立ちと神がかったプレーでテニスファンではない人達をも魅了した男だ。1976年にわずか20歳にしてウィンブルドンで初優勝を果たし、その後も4連覇を達成する。コンピューターのように冷静沈着な姿から「氷の男」と呼ばれ、絶対王者として君臨していた。

5連覇がかかるボルグの前に現れたのはアメリカ人テニスプレーヤーのジョン・マッケンローだ。類稀な才能を持っていながら、納得のいかない判定には怒り狂って噛みつき、汚い言葉を吐くことから「悪童」と呼ばれていた。

「氷の男」と「悪童」という対照的な2人のテニスプレーヤーが激突した1980年の息詰まる勝負を描き出していく。己の人生全てを一打に叩き込む男たちの姿を描き出し、熱狂と興奮が押し寄せる実録のスポーツ映画だ。

『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』のあらすじ

© AB Svensk Filmindustri 2017

ビヨン・ボルグはハリウッドスターのような人気を誇るテニスプレーヤーだ。1976年にウィンブルドンで初優勝を飾り、その後も4連覇を達成し、絶対王者として君臨していた。美しい顔立ちと神がかりのプレイでテニスファンではない人達をも魅了していた。

そんな彼の5連覇を阻止するべく1人のアメリカ人テニスプレーヤーが現れる。納得のできない判定には野犬のごとく噛みつき、汚い言葉を吐くジョン・マッケンローだ。

「氷の男」と呼ばれたビヨン・ボルグと「悪童」と呼ばれたジョン・マッケンロー。対照的な2人の男がテニスの歴史に刻まれる名勝負を迎えようとしていた。

王者として君臨することの重圧

© AB Svensk Filmindustri 2017

王者として君臨する重圧を感じるビヨン・ボルグの姿が描かれている。どこに行ってもファンやマスコミに追いかけられていて、心が休まる暇などない。5連覇がかかった試合を控えていることからボルグが感じる重圧を感じさせるシーンがある。モナコにある自宅アパートのベランダから身を乗り出すシーンだ。自身がテニス界の王者であることを演じなければならない。そのような苦悩から逃れたいというボルグの気持ちを感じさせる。

あまりの重圧に時間の感覚が完全に麻痺しているシーンもある。自宅のアパートに帰宅した時に婚約者から指摘されるまで時間の感覚が麻痺していることに全く気付いていなかった。

毎年宿泊するホテルの部屋は同じで、タオルも車も全てが同じでなければならない。ベッドに入る前には必ず50本のラケットに張られたガットの強度を丹念にチェックしていく。試合に使用するタオルは必ず2枚にする。1枚でもなければ3枚でもなく、必ず2枚だ。

自分自身に対して厳しいルールを課すことでボルグがテニスの王者になっていったことが伝わってくる。

「氷の男」となるビヨン・ボルグ

© AB Svensk Filmindustri 2017

「氷の男」と呼ばれたビヨン・ボルグだが、実は初めから「氷の男」ではなかったことが明かされる。映画は2人のテニスプレーヤーの少年時代から描かれてはいない。彼らの少年時代のエピソードを挿入することで描かれていく。ストーリーが単調となりがちな伝記映画とは違う。

ビヨン・ボルグは負けず嫌いで喜怒哀楽が激しかった。初めからボルグは「氷の男」だったわけではない。そんな彼はレナート・ベルゲリンというコーチとの出会いで変わっていく。「感情を抑制すること」、「過去や未来のことは考えない」、「次の1ポイントに集中すること」を教えていく。

怒りを抑制することでボルグは王者となっていく。怒りを放出するマッケンローとは対照的だ。2人は負けず嫌いであり短気でキレやすいという共通点があり、周囲から疎まれていたことが伝わる映画だ。

About the author

Napoleon

映画ライター。アクション、サスペンス、スリラー、ドラマ、クラシックと幅広い映画を鑑賞。映画の紹介記事を2017年から作成開始。時間を忘れるほど映画について語ることが得意。また映画に隠されたエピソードの知識もある。読み手を常に意識した文章を心がける。