1. TOP
  2. REVIEW
  3. 実際のカンニング事件を描く、タイ映画史上最大のヒット作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

実際のカンニング事件を描く、タイ映画史上最大のヒット作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

By -

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』 (c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

アジアを席巻する話題作がいよいよ日本に上陸した。タイのアカデミー賞とよばれる第27回スパンナホン賞では監督賞、主演女優賞、主演男優賞をはじめとした史上最多12部門を獲得。

米人気批評サイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、批評家による評価が92%と高い数字を叩き出した。高校生版『オーシャンズ11』との呼び声が高い、タイ映画史上に残る大ヒット作だ。

この記事には、映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のストーリーに触れる内容が含まれています。なるべく映画鑑賞後にお読みください。

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』あらすじ

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』 (c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

教員の娘で天才的な頭脳を持つ少女リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)。彼女はタイ随一の進学校に学費を全額免除してもらって入学する。その高校にはリンとは逆に親からの賄賂で入学している富裕層の子息たちも在籍していた。

彼女は初めて親友になったクラスの美女グレース(イッサヤー・ホースワン)がテストでピンチに追い込まれているのを見て思わずカンニングをさせてしまう。それがきっかけでリンはグレースとその大金持ちの彼氏パット(ティーラドン・スパパンピンヨー)と協力してカンニングをさせる代わりに生徒たちからカネを取るビジネス形態を作り上げる。

しかし、リンと同じく奨学金で学んでいる優等生のバンク(チャーノン・サンティナトーンクン)がそれを見破り、学校に報告してしまう。校長からも父親からも咎められ、カンニングビジネスは辞めることにするリン。しかし、パットとグレースが親から半強制的にアメリカに留学することを求められる。

留学のためのSTICという試験は超難関。リンはそれを突破するために唯一無二の盲点を突いたカンニング作戦を思いつく。しかしそれにはかつて自分たちと敵対したバンクの協力が必要だった……。

スパイ映画さながらのスリル

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』 (c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

この映画はカンニングという一見くだらない題材を扱っているが、本編を見るとハリウッドのスタイリッシュなチーム犯罪映画、スパイ映画のような風格を称えた傑作だった。

別に主人公たちが失敗しても進学できない、お金が稼げないというだけなのだが、もはや人の命がかかってるんじゃないかという気がしてくるくらいの緊迫感がある。

カンニング映画なのだが、主人公リンはカンニングする必要などない超天才だ。おまけにピアノの腕も立ち、運動神経もいいという漫画のようなキャラなのだが、主演女優のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンの9頭身の異常なまでのプロポーションに、クールビューティーの極みのような佇まいがその設定に圧倒的な説得力を持たせている。

計画自体は彼女の能力に頼ったものではあるが、もうひとりの天才バンクと勉強はできないが財力と人を引きつけたり偽造品を作る能力があるパットとグレースもしっかりと計画に必要な役割を果たしておりチーム犯罪モノとしての気持ちよさもしっかりある。

そして、計画自体も想定外なハプニングや見方の手のひら返し、バカを仲間に入れたがゆえの綻びなどで次々とピンチを迎えていくので全く飽きは来ない。

また、本作は細かくカンニングの手口を描いている。中国で実際に有った事件をもとにしているのもあり、「これなら確かにいける!」と思えるだけの説得力を持った描き方。手順自体はカンニングなので地味なのだが、編集のリズムと音楽とケレン味たっぷりのカメラワークでド派手に、かつ的確に魅せていく。

加えて、実際の事件を基にしているので倫理的な問題提起もしっかりしている。主人公たちはしっかりと代償を払わされるのだ。しかし、後味は不思議と悪くない。主人公のリンは計画をきっちり成功させ、逃げ切れたはずなのに、自らけじめを付けに行く。

ここまでやれるヤツらなら未来は明るい。そして金より人間としての矜持を選んで自分で落とし前をつける。とてもさわやかな映画でもあった。

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は2018年9月22日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。

About the author

madwhite

映画好きの平凡な会社員です。僕なりの考察と感想を書かせていただきます。 とにかく素晴らしい映画を作ってくれる映画界の才人たちに感謝。そんなに素晴らしくない作品の作り手たちにも感謝。公開してくれる人たちにも感謝。 どんな映画でも必ずいいところがあり、問題点もあると思うのでそこは正直に思ったままを書かせていただきます。