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全世代に贈る人生賛歌 ── 2018年、心温まる秀作洋画の代表作『輝ける人生』

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©Finding Your Feet Limited 2017

エミー賞やゴールデン・グローブ賞の作品賞を受賞したBBCとHBOのテレビシリーズ『バンド・オブ・ブラザース』(2001)で第2話の監督を務めたリチャード・ロンクレインが本作を監督。英国が誇る名優達をキャストし、ロンドンとローマで撮影された秀逸作品だ。

『輝ける人生』あらすじ

©Finding Your Feet Limited 2017

夫の定年退職を祝うホームパーティで、35年連れ添った妻サンドラは自分の友人と夫が5年間も浮気をしていた事を知る。ショックを受けたサンドラは家を飛び出し、疎遠だった姉エリザベスのアパートに押し掛けるとそのまま居候生活を始める。

財力と名誉のある主婦生活を送って来たサンドラと自由な独身生活を謳歌して来たエリザベス。対照的で10年間連絡を取っていなかった姉妹だが、妹を立ち直らせたいエリザベスは自分が通うダンス教室へサンドラを誘う。そこで出会う人々との交流を通して少しずつ自分を取り戻していくサンドラは、やがて誰の身にも起きる人生の節目を迎える。

ベストムービー

©Finding Your Feet Limited 2017

良質の映画を作るのにカーチェイスも性描写も必要ないと悟る大人向けの映画でありながら、若い世代の観客から好評を受けた作品である。19世紀の英国を舞台とした『いつか晴れた日に』(1995)や『ラブ・アクチュアリー』(2003)等、心温まるロマンティック・コメディ作りにかけては英国が非常に優れている。

本作『輝ける人生』(2017)においても若い人気俳優をキャストして観客動員を狙うのではなく、ウィットに富んだ脚本、巧みな演出、そして俳優たちの演技力で高い完成度を生み成功した。

長い結婚生活や家族の介護を経験した人誰もが理解し共感できる物語でもあり、紆余曲折を経て人間が皆迎える老いと死を静かに抱きしめるような繊細さで描かれている。2018年上半期を折り返した現在、劇場公開された洋画では最高の作品だ。

出演する実力派の俳優陣

©Finding Your Feet Limited 2017

主人公サンドラを演じるイメルダ・スタウントンは、前述した『いつか晴れた日に』や『ヴェラ・ドレイク』(2004)等に出演し、152センチメートルと小柄ながらも際立つ存在感で高い評価を得ており、英国では知らない人がいないくらい人気のある俳優である。

サンドラの姉エリザベスに扮するセリア・イムリーは、過去に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)や『ブリジッド・ジョーンズの日記』(2001)等に出演。英国では近年最も“花開いた俳優”とされ、エリザベスはイムリーを想定して書かれたキャラクターだと言われている。また、作家でもあるイムリーは3作目の小説『Sail Away(原題)』が今年出版されたばかり。

そして、才能豊かなこの2人の俳優が揃って賞賛するのは、チャーリー役のティモシー・スポールである。「ハリー・ポッター」シリーズや『英国王のスピーチ』(2010)に出演し広く認知されており、スタウントンとは名門の王立演劇学校で一緒に学んでいる。シェイクスピアの「マクベス」等多くの舞台においても高い評価を得ており、これまでカンヌ国際映画祭男優賞等数々の賞を受賞している。

About the author

yukojuni

バンクーバー在住のライター。東京出身。結婚前は会議の同時通訳者で専門分野は金融。執筆は洋画と海外ドラマが多く、幅広い作品を独自の視点で解説。無類の動物好き。座右の銘は一緒に暮らす動物は最後まで慈しみ面倒を見る。