ウェス・アンダーソン監督「日本語はとても美しくて複雑」 ── 新作『犬ヶ島』の舞台である“日本”について語る

©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)でアカデミー監督賞にノミネートされた、ディテールにこだわる監督ウェス・アンダーソン。最新作は、今年5月25日(金)に日本で公開が予定されている『犬ヶ島』(2018)だ。
舞台は日本の架空都市「メガ崎市」。不正を働いてライバル候補を蹴散らし市長となったコバヤシは、市内の全ての犬を処分するという政策を打ち出す。離れ島に追いやられた犬たちが今作の主人公だ。
時は20年後の未来。メガ崎市で、コバヤシは溢れんばかりの犬を「ゴミの島」へと追放する。哀れな12歳の少年アタリ(声:ランキン・こうゆう)は、飼っていた犬・スポットを捜すために小さな飛行機でゴミの島へと向かう。
ストップモーション・アニメでは1コマ1コマのディテールが重要だ。今作のために、2200体を超える人形と250以上のセットが、さまざまな大きさで用意されたという。
コバヤシの邸宅は、フランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテル本館をモデルにしている。1950年代の日本酒のラベルの再現や、何ヶ月もかけてリアルに作った寿司を準備するシーンもあり、日本人なら注目したい見どころ満載の作品だ。
「本物に忠実にならなければ面白くない。包丁さばきや魚の扱いがきちんとしていなければマヌケに見えてしまうんだ」と監督は語る。 「これはファンタジーだから、日本のどこかを精確に描写しているわけではない。自分が日本映画を通して得た日本のイメージを再現したものなんだ」
もうひとつ特筆すべき点は、今作では人間のキャラクターがそれぞれの母語でしゃべっていることだ。字幕がつくこともあるし、犬の鳴き声は英語に翻訳されているが、アタリが話す日本語のセリフの大部分は翻訳されていない。
監督は、日本映画が英語で吹き替えられるのが好きではないという。「俳優たちが日本語で演じているのが見たいんだ。そのほうが面白いし、日本語はとても美しくて複雑な言語だからね」
監督は新作を撮る時、それまでの作品との繋がりは無くすようにしているが、結局いつも自分好みのやり方でストーリーを語ることになるという。「自分がどういう人間なのか、分かるようになってきたよ」と笑いながら語った。
ウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』は、2018年5月25日(金)より全国ロードショー。
『犬ヶ島』
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
Source: http://ew.com/movies/2018/03/22/wes-anderson-japan-isle-of-dogs/